2024年4月20日土曜日

よろこびの春

 里山は一気に春めいてきた. 山々はほんの少し前までは薄茶色だったのに今は色っぽい緑色. 我が家の前方に広がる小高い丘の果樹園は今梨の花が満開だ. 梨畑の輪郭を縁取っているのは軽自動車一台分の通り道. 

小川の水は勢いを増し, 道端の草も次々花を咲かせる. 鳥たちは忙しく囀り飛び回る. あちこちでトラクターの唸る音が聞こえてくる. 


エネルギーに満ち溢れている春だ. 空気中に春があふれている. こんなにも春を全身で感じたこと, そしてそのことを意識したのは何時のことだったろう. 私の体の中に春の空気と色とにおい, そして里山の春の姿が入り込んでくる. 

スウェーデンの児童文学作家, リンドグレーンの<山賊のむすめローニャ>を思い出した. この物語の一番最後のところだ. 山賊のむすめのローニャと同じく山賊のむすこビルクは森の洞窟で暮らしていた. 冬にそれぞれの家に帰り,春になってまた洞窟で暮らしはじめる. 

≪「こわがらないでね, ビルク」とローニャは言った. 「これから, わたし, 春のさけびをあげるんだから!」   そして, ローニャはさけんだ. 鳥のようにかんだかい, よろこびの声が, 森のはるか遠くまでひびきわたった. ≫  

   アスリッド・リンドグレーン作  山賊のむすめローニャ より

そう, まさにわたしはローニャの気分だ. 




手前の道を上っていくと厩舎がある.   優しい顔の馬がじっとみつめてきた.


上の写真の左手側. 

道の脇の黄色っぽいものはタンポポ. 

その他に, ムラサキ, ウスムラサキ, シロのスミレが咲いている.  ウッドハウスもあった.





写真の編集がうまくできなくて, せっかくの梨畑がただ白くなってしまっただけのものに.

春の芽吹きをお楽しみください.






手前の白いのが梨の花. ただいま満開. 花の香りはあまりいい匂いではないけれどおいしい梨ができあがる.





当たり前だけれど, どこまでもどこまでも春. 大気中に春が充満している. やがて, 少しずつ夏に浸食されながら姿をけしてゆく. どこまでもどこまでも夏がやってくる. 季節は巡る. 

地球のシステム, 植物の化学反応で人は支えられている.   


穏やかで暖かく, 嫋やかな, だけれど力強い春.  今を, 小さな自然の一こまを胸に留めておこう. これはわたしにとって心の糧になる. 


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